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若い人にこそ文学を読んでほしい――芥川賞作家・町屋良平さん、最新作に寄せて(本がすき。) - Yahoo!ニュース

’19年、第160回芥川賞を受賞した新進気鋭の作家・町屋良平さん。新作は文学にハマる男子高校生の物語です。「人生に疲れているとき、詩が助けになると書きたかった」とか。高校生たちの焦りや苛立ち、歓びに寄り添いつつ、文学論も楽しめる巧みなエンタメ小説です。

“言葉に対する思考のすべて”それが文学を指すと考えています

『坂下あたると、しじょうの宇宙』集英社 デビューして3年後の’19年、勝てない21歳のプロボクサーと駆け出しトレーナーの姿を描いた「1R1分34秒」で第160回芥川賞を受賞した町屋良平さん。今や、世の本読みたちが新作を心待ちにする人気作家の1人です。 長編小説『坂下あたると、しじょうの宇宙』は詩や小説の創作にハマる高校生男子、坂下あたると佐藤毅の2人の成長物語です。 親友あたるの影響を受けて詩を書くようになった毅ですが、投稿してもなかなか評価されません。

あたるには才能があり、小説投稿サイトに自分の作品を投稿して固定ファンがいたり、新人賞の最終候補にも残ったりするほど。毅に文学の面白さを教えたのはあたるでしたが、何をやってもうまくいかない毅はあたるが羨ましくてたまりません。ある日、その小説投稿サイト内にあたるの偽アカウントが存在することがわかります。そんなものを作ったのは誰か調べてみると、あたるの作風を学習したAI。しかもAIが書いた小説のほうがあたる自身が書いたもの 「東京・上野のヨドバシカメラの前を歩いているときに、高校生2人が文学に挑む小説が書けるかも、と突然、浮かんだんです(笑)。最初は詩を読み合う展開と、サイト内のアカウントが勝手に作品を模倣し始める、というイメージがありました」 アイデアがどこから生まれたのか尋ねると、町屋さんは少し照れたように笑いながら語ります。 「日ごろから若い人にもっと文芸誌を読んでほしい、詩も読んでほしいと思っていたことが根底にあるかもしれません。高校生でも小説や詩にハマれると思います。だから、若い人にこそ文学に馴染んでほしいと思っていました。 書く前から、あたるはピュアなのでそれゆえに苦しいことが起こる予感がありました。小説投稿サイトで傷つくとか、文学新人賞の最終候補には残るけれど落ちるとか。そんなポイントは決まっていましたが、僕はプロットを作らず書くタイプなので主人公たちが具体的にどう動くかはまるでわからないんです。実際、あたるの小説がコピーされるイメージはありましたが、AIが模倣するとは思っていませんでした。僕はAIにはあまり興味がないので(笑)」 作中、投稿サイトを作った管理人の小学生が仕組みについて詳細に語るシーンがあり、印象的です。 「前回ボクシングのことを書いたときも、AIのことを書いた今回もそうですが、集中して想像力を発揮すると、よく知らないことを書いていても不思議と現実から乖離することは少ない。ですので、調べるのは書いた後、確認する程度です」 本作品のもう一つの魅力は登場する数々の詩。町屋さんが創作したものもあれば、最果タヒさんや文月悠光(ふづきゆみ)さんなど、今人気の若手詩人のものもあります。 「生きていると、意味に疲れること、ありませんか?」 町屋さんはゆっくりと言葉を選びながら、ときどき視線をそらしつつ、言葉を紡ぎます。 「我々は何らかの価値があるから会話をする、何らかの価値があるから書くわけです。あらゆるコミュニケーションには意味がある。ですが、一方で意味を考えることに疲れる瞬間もある。たとえば小説は、読み手や書き手の人生経験をある程度利用する側面があります。利用される自分の人生に疲れているとき、詩の言葉は慰みになると思うんです。詩の言葉は作者や読者の言葉と分離されているように読めますから」 人生はそんなに悪くないと思わせてくれる、極上の逸品です。

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April 18, 2020 at 09:30AM
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