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“現実よりも言葉を信じている”。江國香織さんにとって、小説を書くこととは?(家庭画報.com) - Yahoo!ニュース

小説を書くということ~作家が語る、書くこと、読むこと

SNSやブログを通じて、誰もが書くことができるこの時代、小説を書くとはどういうことなのか。小説家はどんなことを考えながら、小説を書き、読んでいるのか。作家の方々に、それぞれの小説作法を尋ねます。

第3回 江國香織さん 〔後編〕

アンチドラマなのに豊かな物語性。端的な人物描写。心地よいほうへ、楽しいほうへと向かうものの、人は完全に満ち足りやしないことを知る登場人物が、ふとした瞬間に垣間見せる明るい諦念。人は誰しも相反するものを裡に抱えていることを、江國さんは平易な言葉で物語ってゆく。

自分ではよく覚えていないというものの、ご両親によれば、字を覚える前から、父上(随筆家の江國 滋氏)の原稿用紙に○や△などの印を描き、「これは物語である」といって声に出して読んでいたそうで、その物語体質は生来のものなのだろう。

毎朝2時間のお風呂での読書タイム、移動中はもちろん、人を待っている道端でも、つねに本を読んでいるし、本がないとだめですねと、目の前で話をされている江國さんは、物語の世界からちょっとこちらの世界にやってきたようにも見える。どこか浮世離れしたその雰囲気も、作品のように魅力的だ。

本は決して、安全で害の少ない娯楽、ではない

――エッセイを読んでいると、江國さんの日常は、書くことと読むことで成立していることがうかがえます。

そうですね。『なかなか暮れない夏の夕暮れ』という小説では、本ばかり読んでいる男の人を主人公にしましたけど、本を読むという行為は、他人からはうかがい知れないことじゃないですか。主人公と暮らしている女性が寂しさや不満を感じてしまうのは、本を読んでいるあいだ、彼がそこにいながら、いなくなってしまうからなわけですし。本を読んでいる人は、旅をしている気持ちにもなれるし、現実逃避することもできます。

本ってスポーツみたいに怪我をすることもないので、安全で害の少ない娯楽に見えるけれど、読むことって、周りの人にとってはかなり残酷な行為かもしれません。

――物語は、小さいときからつくっていたのですか。

両親にいわせると、字が書けるようになる前から、父の原稿用紙に記号や印を描いて、「昔むかしあるところに……」って読むという遊びをしていたみたいです。

中学、高校のときは文芸部だったので、詩を書いて、学内の雑誌に載せたりしていました。ただ当時、書いた物語はすべて未完で、最後まで書いたものはなかったですね。話は思いつくけれど、最後まで続かなくて……。

――デビューされた20代前半と現在で、小説との向き合い方に変化はありますか。

書き始めた頃とは、変化があるんじゃないかな。もともと小説を信じてはいましたけど、今は30数年前よりさらに信じるようになっています。最初は不安ですよね。小説がどうなるかも、最後まで書き上げられるかもわからない。今でもそうですけど、書いているあいだ、それがおもしろいものになるかどうか、自分ではわからないし。

でも、その場面場面で選択を間違えなければ、必ず正しい場所に行き着くことはできる。そう思えるようになったことが、最初の頃との違いかもしれません。

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