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【ゲームライターの日常】ゲームライターはゲームを遊ぶだけの楽な仕事? - IGN JAPAN

僕の仕事は「ゲームライター」です。この職業は名のとおり、ゲームに関するライティング(物書き)を行うもの。とはいえ僕はゲームの物語を書くライター(ゲームシナリオライター)ではなく、各種メディアでゲームに関する記事を書く、いわば新聞記者のゲーム版みたいなものでしょうか。

ゲームライターは次のような仕事を行います。ゲームに関するニュース記事を書く、あるいは作品に対する感想や意見をまとめたコラムを書く、もしくはレビューとしてゲームを評論するなどなど。昨今はゲーム関連の番組に出演する仕事も行っており、EXILEのNESMITHさんにスマホゲームをおすすめする番組にも出ています。

とはいえ、一口にゲームライターといってもいろいろです。知人にはプロレスラーになった人もいますし、小説家と兼業でゲームライターをしている人もいます。また、ゲーム攻略などの仕事もあるようですが僕はほとんど関わったことがありません。つまり、ゲームライターといえどもやっていることは個々人で全然違うので、ひとくくりにするのは不可能。このシリーズも、あくまでウェブメディアに寄稿するケースが多い、フリーライターの僕から見ているものだと意識してください。

「ゲームライターの日常」は、そんなゲームライターがどんな日常をおくっているのか、日々どんなことを考えているのか書いていく日常系ゲームエッセイです。

「ゲームライター」は理解されていない?

そもそもなぜ「ゲームライターの日常」を書こうとしたのかといえば、周囲の理解がないことに気づいたからです。たとえば僕の両親はゲームライターというものをよくわかっておらず、父親は平日昼間に「インターネットを直してくれ」と壮大な話を持ちかけてくるし(実際はPCがネットに繋がらないだけなのですが)、母親は「親戚が深夜アニメであんたの名前を見たっていうけど、そういう仕事してるの?」と言い出します。

もちろん両親くらいの年齢の人だと仕方がないのですが、それ以外の人からも、ゲームライターが具体的に何をしているのか、よくわかってもらえてないと感じることはよくあります。たとえば同年代の人に職業を話すと「じゃあファミ通で働いてるの?」とか言われるわけです。

せめてゲームを遊んでいる人には、ゲームライターの仕事を理解してもらったほうがいいのではないか。そもそもライターも一応は物書きですし、他人に情報を発信する立場の人間なのです。自分の仕事がどんなもので、どういった意義があるのか自ら伝える必要があるのではと思い、筆をとった次第です。

ゲームライターのイメージ、そして現実とのギャップ

ほかの人に「自分がゲームライターである」と話すとうらやましがれることもしばしば。甥にも「なんて楽しそうな仕事なんだ!」と言われました。どうやらゲームを遊んでいるだけの仕事と思われているのかもしれませんが、仕事である以上はたいへんなのです。

そもそもゲームライターといってもさまざまで、僕のようなフリーランスであれば営業や事務作業もしなければなりませんし、どうしても収入が不安定になります。会社に勤めているゲームライターだと給与は安定しているでしょうが、異なる苦労がたくさんあるでしょう。編集プロダクションになるとさらに事情が異なるかも。

立場はさまざまですが共通して言えることは、ゲームライターはとにもかくにもゲームをしなければならないのです。仕事(紹介記事や攻略記事)が先にあって対象のゲームを遊ぶこともありますし、趣味でゲームをプレイしたらそれがコラムや評論の仕事に繋がることもある。もちろん、トレンドを知らなければトンチンカンなことを言ってしまいますし、とにかくゲームを遊ばねば話にならないのです。

しかしゲームは時間がかかる。たとえば映画は2時間前後で終わりますが、ゲームはそうもいきません。RPGであれば短いものであれば5時間くらい、中くらいの規模なら20~30時間、ボリュームたっぷりの作品は100時間くらいかかって、さらに周回要素があったりもあるわけです。そもそもゲームはジャンルも数も多く、ひとりで全部遊び切るのは物理的に無理でしょう。

「とはいえ映画は歴史もあって、過去の作品や経緯を知る必要があるだろう」なんて思う方もいると思いますが、そこはゲームも同じです。映画に比べれば歴史は浅いでしょうが、それでも人々にとって身近になってから何十年もの時が過ぎています。当時の雰囲気を知る人、シリーズのファンにのみ割り振られる仕事などもあるわけで、知るべきことは山ほどありますし、ゲーム以外の知識も勉強したいところ。

プレイ時間の問題は特にシビアで、そのあたりの話は過去に「ゲームライターになろうとするな」(前編後編)というコラムにも書いています。とにかくゲームライターは、ゲームに時間を割かれすぎる問題と、同時により多くの作品に興味を持たねばならない問題を背負っているのです。しかも常にそうしていなければ、仕事のチャンスを逃します。

『脳を鍛える大人のNintendo Switchトレーニング』(2019)

僕は『脳を鍛える大人のNintendo Switchトレーニング』の記事を書きましたが、これを書くための条件を満たすのも楽ではありません。まず14年半前に僕がニンテンドーDSの「脳トレ」を遊んでいる必要がありますし、その14年半後に新作となるNintendo Switchの「脳トレ」をまた遊び、さらに記事を書くための能力、そして記事のテーマを見つける力も必要になるわけです。

ゲームライターは確かに「ゲームを遊んで記事を書いている」かもしれませんが、楽な仕事かといえばそうではないと言うべきでしょう。情熱をいう火が消えないよう薪をくべねばなりませんし、より多くの作品に興味を持てるような能力も欲しいですし、時間を確保するための努力、あるいは時間を得るために何かを切り捨てる覚悟もいるかもしれません。

むしろ、ゲームライターにとって「楽しむこと」は最低条件かも

カービィのTシャツを着てカービィカフェでカービィのハンバーガーを食べる筆者。

もっとも、ゲームライターの仕事が楽しいと思うこともあります。取材でカービィカフェに行ったときはとにかく楽しかったですし、自分の動画を撮ってもらったら想像以上に楽しそうでびっくりしました。

ニンテンドー3DSの『Ice Station Z』というゲームの記事を書いたときも、おもしろおかしい人たちと出会えて咳き込むほど笑いました。記事としても興味深いものが書けて嬉しかったです。

『UNDERTALE』(2015)

『UNDERTALE』に関する記事もいくつか書いたのですが、こちらはその流れが興味深いものになりました。まず最初は日本語版のレビューを担当し、その後に本作のテーマである「第四の壁」に触れることの問題に関するコラムを書きました。

さらにその後、『UNDERTALE』の制作者が影響を受けたという『moon』を遊びコラムを書きました。ふたつの作品はテーマこそ似ているものの、根底にあるものが違うのです。こういった一連の流れを体験し気づきを得ることは、仕事で文章を書いていなければなかなか難しいかもしれません。

『moon』(1997) 画像はNintendo Switch版

ゲームライターという仕事は、ゲームを遊べるうえに楽しいのは事実です。むしろ楽しむことは最低条件といえるかもしれません。ただ、当然ながら遊んでいるだけでは仕事にならない。そこに何かプラスα、書き手の能力から生み出せる要素がないと原稿で金を取るのは難しいかも、と考えています。

よその企画ですが、各職業の専門家に関連したゲームを見せる企画「〇〇といくゲームさんぽ」は大きな反響があるようです。これもゲームの要素を知識のある人が深堀りする、つまりゲームを楽しんでいることにプラスαがあるからこそ、魅力的なコンテンツになるのかもしれません。

ゲームライターは「毎日のようにゲームを遊びそれを仕事にする人」であることは間違いないと思います。ただ、その中身は想像よりは複雑なのです。ゲームライターはゲームを楽しみ、知識や経験を活用してその楽しみをさらに膨らませたり、あるいは人に伝えられる人ではないでしょうか。次回以降はもう少し具体的な話に移りましょう。


渡邉卓也(@SSSSSDM)はフリーランスのゲームライター。サラリーマンでは満足にゲームが遊べないことに気づき、ゲームライターとなった。

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February 17, 2020 at 02:36PM
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