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齋藤環先生の『中高年ひきこもり』を読んで。 - BLOGOS

精神科医 齋藤環先生の新書『中高年ひきこもり』を献本いただき、読了しました。めちゃくちゃ売れてますね!

[1]誰ということなく読むべき一冊

中高年であるかどうか、ひきこもりに無縁かどうかにかかわらず、一般知識(教養)として一読しておくことを薦めます。

理由として、①定義の重要性を再認識できる②生存者バイアスを強く意識できる③自分なりの解答(解決モデル)を持つ訓練になる

もちろん、内容は中高年のひきこもりなのですが、それ以上に、僕らが日常生活のなかで見聞きするけれど、実際には触れることがほとんどない現象・事象について「考える」ということが、日々の忙しさで忘れてしまいそうになることを取り戻せます。

[2]中高年ひきこもり、に触れ過ぎていない

これは本書が「中高年ひきこもり」に触れてない関係のない書籍であるということではありません。ただ、「ひきこもり」が言葉になっていまに至る過程(第六章ひきこもり問題の歴史・現状・未来は超おススメ)があります。

そこでは(ざくっとですが)学校に行けない子ども→思春期に孤立する若者→中高年齢化、という社会的視点の拡充があり、その意味で「中高年ひきこもり」だけを論ずるのはできないからだと理解しています。

[3]では、どうするのかは自分で考えなければいけない

キュアとケアの違い、就労支援の有効性と前提条件、医療モデルに傾倒し過ぎず位置付ける、という多くの示唆があります。

しかしながら、社会的な解決の在り方についての記述は限定的で、個々の家族(個人)に対してどうあるべきか、どんな考え方や振舞い方があり得るかは充実しています。

そこには中高年例だからというよりは、これまで先生が提唱してきたエッセンスが凝縮しています。

なぜ自分で考えなければならないかと言うと、ひきこもり問題の中高化、その行く先には多くのひきこもり状態の方が生まれるという話があります。これは先生が昔から言ってました。

そして、本書帯にも内容にも「日本の社会保障制度」を根幹から揺るがすよ、という未来に触れられています。一方、個々の対応については充実していることは述べましたが、社会的にどう「ひきこもり」を捉え、その解決に向けた、例えば法制度、政策、取り組みなどは事例と示唆に留まっています(留めているのかもしれません)。

つまり、「ひきこもり」という状態にある当事者や家族、周縁的な視点から、環境との相互作用による、何ができるのかには触れてありながら、では、私たちの社会としてはどうしていくべきかへの「解答」はありません。

※医療に傾倒させることへの基本的な反対スタンス(ステークスホルダーとしての一員としては必要)と、その背景にある理由への推察などはすごく興味深かったです。斎藤先生も排除された可能性とか)

もちろん、誰もが成熟、未成熟であっても人権を尊重されて生きていけるようにするための「理想」や「方法論」はここかしこにありますが、一方でそれを実現する具体的な話、例えば財源とか、法整備とか、は正解がないけれど、そこにたどり着かないともやもやします。

そのもやもやは、ある程度この分野にいれば「そうはいっても」で飲み込める部分はありますが、そうではない「ひきこもり」という文脈とは無縁、無関心なひとたちには届きません。

ここがとても難しい。「ひきこもり」が若者や子どもの話であったときは「将来的に働けるように」という話も現実性とは別に合意される部分はあったかもしれませんが、中高年齢の特に高齢になれば、そのような話で合意形成は難しいと思います。

ということで、本書を読むと自分なりの「解答」や「方向」を改めて考えなければならにと強く思わされます。

2019年の「ひきこもり」に関する話題やニュースを、過去からの流れを含めて理解し、「では当事者やご家族はどうしたらいいのか」を提示しつつ、みんなの問題だからちゃんと考えて行こうね、を簡潔に提示してくれる一冊だと思います!

中高年ひきこもり

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February 14, 2020 at 08:45AM
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