Search This Blog

相模原施設殺傷事件の死刑判決を読んで、考えたこと。 - 藤永忠(フジナガタダシ) - 自社

相模原市の知的障害者入所施設「津久井やまゆり園」で
元職員の植松聖被告が入所者19人を刺殺し、
職員を含む26人に重軽傷を負わせた相模原事件で
本日(3月16日)、横浜地方裁判所は
死刑判決を出しました。

先ほど、その判決全文を読み終えたところです。

※ 下記に判決全文が出ています。
  もしよろしかったら、皆さんも読んでみてください。
  → 【判決全文】相模原事件、植松被告に死刑
    「計画的かつ強烈な殺意に貫かれた犯行」
https://ift.tt/2QnBGcy

この事件のことを考えるとき、思い出す光景があります。
1999年9月、当時の石原慎太郎東京都知事が
重度障害者たちが治療を受けている都内の施設を視察したあと
「ああいう人ってのは、人格があるのかね」
「絶対よくならない、自分が誰だかわからない、
 人間として生まれてきたけれど、ああいう障害で、
 ああいう状況になって」
「ああいう問題って、安楽死につながるんじゃないか
という気がする」などと発言しました。

当時、ぼくは社団法人東京都聴覚障害者連盟の理事の一員として
聴覚障害と知的障害などを併せ持った人たちの
生活就労施設の建設運動に取り組んでいました。
都知事の上記の発言の後の、その運動の後援会の会合で
この発言が話題になり、
ご一緒に運動に取り組んでいたお母さんが
泣いて悔しがって、その場で発言されていました。

あのときの光景。
いまだに、覚えています。
都の行政の責任者が「安楽死」という言葉を使ってまで
その重度の障害を持つ仲間たちの生活の権利を否定していく。
一部には、それに対する賛意の声も、
マスコミに紹介されていたことも、忘れられません。

どんなに重い障害を持っていても、その状況に応じた
思いをもって、みんな生きています。
のちに、都内の聴覚障害者・手話関係者をはじめとする
みんなの力で、東京都青梅市に「たましろの郷」という
施設の建設ができたのですが、
ぼくもその設立当初の社会福祉法人の理事の一員で
一時期は事務の職員でもありましたが
重い障害をもって生活している仲間たちが
手話で自分の思いを表現しながら生活し、
楽しく生活している瞬間を
共有することができました。

施設の職員でもあった、被告の植松さん、
そういう瞬間を
少しでも共有することができなかったんだろうか、と
かって福祉の現場にいた者として
その点も残念でなりません。

石原慎太郎さんは、「文學界」2016年10月号の対談で
この相模原障害者施設殺傷事件について
「この間の、障害者を十九人殺した相模原の事件。
 あれは僕、ある意味で分かるんですよ」と発言しています。
こういう人物が東京都知事であったのだと
その点も、本当に残念で。

もう30年くらい前の話ですが
ぼくが中学生ではじめて補聴器をつけたとき
「前世で何か悪いことをしたから、そうなった」
「前世でも、人の言うことを中途半端にしか
 聞かなかったから・・・」
等と、よく言われました。

スピリチュアルなブームのなかで
「因果応報」的な考え方を持ち出して
そういう無神経なことをいう人は
いまだに、居ます。

昨年、障害を持つ当事者として
川崎市議選に立候補したとき
その政治活動の過程でも、
駅頭で、よく、そういうことを言われました。
例えば
「前世で何かあって障害者となったのだから
 あなたの行いを社会のせいにして
 社会を変えていこう、なんて考えるのは、おかしい」
とか。

「植松被告という特異な人が起こした事件」
「植松被告が特別に悪い人だった」
というよりも
この社会の中に
植松被告が言っているような価値観の空気が
まだ存在しているような気がします。

少し前ですが、2015年11月、
茨城県教育委員会の長谷川智恵子委員が
障害児について
「こういう子は出生前になんとかならなかったのか、
 茨城県の障害者はもっと減らせたのではないか」と
発言したのも、まだ覚えています。

少しずつ「多様性」という言葉も聞くようになり
誰もが安心して暮らせる社会に向けて
多くの方々が地道な努力を重ねているなかだと思います。

障害者差別解消法が施行され、
手話言語条例とか、いろいろな取り組みが
各地で行われています。

今日の死刑判決で「終わり」にするのではなく
この社会の中の、ひとつの問題として
多くの仲間たちとともに
これからも考え続けていかなければ、と感じています。

この記事をシェアする

Let's block ads! (Why?)



"読んで" - Google ニュース
March 16, 2020 at 08:54PM
https://ift.tt/39R0JfE

相模原施設殺傷事件の死刑判決を読んで、考えたこと。 - 藤永忠(フジナガタダシ) - 自社
"読んで" - Google ニュース
https://ift.tt/2FHvYwn
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

Bagikan Berita Ini

0 Response to "相模原施設殺傷事件の死刑判決を読んで、考えたこと。 - 藤永忠(フジナガタダシ) - 自社"

Post a Comment

Powered by Blogger.