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神経や骨格と融合し自分の手のように毎日思い通りに動かせる次世代型義手が開発される - カラパイア

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神経や骨格と融合し思い通りに動かすことができる義手「バイオニックアーム」
 時代はここまで来たようだ。失った手を補うには義手が使用されるのが一般的だが、思い通りに動かすことは難しかった。だが最新の義手「バイオニックアーム」は自身の神経や骨と融合して、本物の自分の手のように操ることができるのだ。

 20年以上前に農作業で右の手腕を失ったカリンさんは、ここ数年ほどバイオニックアームを日常的に使用しているが、物をつかんだり、指で器用にいじったりと、これを使って普段の作業の8割をこなすことができるようになったという。

 しかも義手を骨に直接固定する「骨直結(オッセオインテグレーション)」という生体と機械の統合アプローチのおかげで、彼女が20年来悩まされてきたひどい幻肢痛まで和らいだそうだ。

右腕を失って以来幻肢痛に悩まされ続けた女性

 カリンさんの人生は突然ガラリと変わってしまった。農作業中に起きた事故で20年以上前に右腕を失ってしまったのだ。

 しかもただ肘(ひじ)から下を切断しただけではない。彼女はそれ以来、つらい幻肢痛(げんしつう)にも悩まされることになる。

 幻肢痛は手腕や足の切断後に失ったはずの手足が存在(幻肢)するように感じられ、痛みを感じる不思議な現象のことだ。

 「いつも肉挽き機に手を突っ込んでいるような感じで、鎮痛剤を大量に飲まねばなりませんでした」と、カリンさんは語る。

 失った手腕を補おうと義手を作ったものの、その装着感は不快で信頼性に乏しく、日常生活ではほとんど役に立たなかったという。

画期的な義手のおかげで日常が改善

 だがそうした日々が今では大きく改善している。画期的なバイオニックアームのおかげだ。

 それは日常のほとんどの作業をこなせるだけでなく、一日中つけていても快適だった。しかも大きなストレスだった痛みまで和らいだという。

 「この研究はより良い生活を与えてくれました。私にとっては大きなことです」

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バイオニックアームを着用したカリンさん / image credit:Ortiz-Catalan et al.

神経や骨格を機械と融合

 義肢をどう装着し、どう制御するかは、義肢開発における最大の課題だ。

 手足を失った人たちの多くは、カリンさんと同じように、義肢を装着したときの不快感や、不便さから、結局使うことをやめてしまう。

 バイオニクス疼痛研究センター(スウェーデン)の創設者であるマックス・オーティス・カタラン教授らを中心とするチームは、こうした課題を解決するために生身の体と機械をつなぐインターフェースを開発している。

 それは「骨直結(オッセオインテグレーション)」で義肢を骨に融合させ、腕の中に埋め込んだインプラントで神経と電気的につなぐという技術だ。

 「カリンさんは、日常生活で安心して使用できる高度に統合されたバイオニックハンドを手にした最初の肘下切断患者です」と、カタラン教授は説明する。

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骨にアタッチメントを固定

 カリンさんのように手足が切断された場合、2つほど大きな問題がある。

 1つは、どうやって2本の骨(橈骨と尺骨)に負荷が均等にかかるようにするかという点と、インプラントや義肢のパーツを装着するスペースが限られているという点だ。

 それを解決するための方法が、骨直結技術(オッセオインテグレーション)だ。

 金属のチタンは丈夫なだけでなく、骨によくくっつくという特徴がある。そこで骨組織にチタン製のアタッチメントを包み込ませ、機械と人体を融合させるのだ。

 アタッチメントは腕の先端から外側に突き出ており、ここにイタリアのロボット企業「Prensilia」が開発した「Mia Hand(ミアハンド)」を取り付ける。それは見た目にも配慮してデザインされた、未来的でおしゃれなロボットハンドだ。

 さらに腕の中に電極を移植し、それを神経とつなぎ合わせる。こうすることで、本物の腕のように、自分の意思だけで手や指の動きをコントロールできるようになる。

 しかもそれだけではない。この外科的・工学的に統合されたアプローチによって、これまでカリンさんをずっと悩ませてきたひどい幻肢痛までが和らいだのだ。

 幻肢痛の解消は、研究チームのもう一つの大きな目標だったが、カリンさんはそれまで大量に飲んでいた鎮痛剤を減らすことができたという。

Bionic hand merges with user's nervous and skeletal systems, remaining functional after years

 手術を担当したヨーテボリ大学のリカード・ブローネマルク准教授は、この技術について次のように説明する。

骨直結技術を再建手術・電極インプラント・AIと組み合わせることで、これまでにない方法で人間の機能を回復させることができます

肘下の切断にはこの部位ならではの課題がありますが、今回実現された性能レベルは、高度な四肢再建を目指すこの分野全体にとって、重要な進歩の指標になるでしょう

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 カリンさんは、EU委員会が助成するDeTOPプロジェクトに登録されている3人の患者のうちの1人だ。

 だが研究チームは最終的には、バイオニックアームを必要とする人なら誰でも使えるようにしたいと考えている。

 この研究は『Science Robotics』(2023年10月11日付)に掲載された。

References:Groundbreaking achievement as bionic hand mer | EurekAlert! / written by hiroching / edited by / parumo
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