ビッグバン後に発生した光の名残が、120億年前の暗黒物質によって歪められる「重力レンズ効果」の現象を示す概念図。
Reiko Matsushita
- 新たな研究により120億年前の暗黒物質(ダークマター)が検出された。
- 研究者らは「重力レンズ効果」を利用して、はるか昔の銀河の周りにある暗黒物質の分布を探った。
- 暗黒物質とは、宇宙に存在する全物質の約27%を占める、目に見えない謎の物質のことをいう。
科学者たちは、120億年前の銀河の周りに暗黒物質(ダークマター)が分布していることを突き止めた。これまで検出された中で最も古い時代のものになる。
2022年8月1日付けで「Physical Review Letters」に掲載された新たな研究論文によると、120億年前というビッグバンから20億年も経っていない時代の暗黒物質(宇宙を構成する物質の約27%を占める目に見えない謎の物質)が検出された。
「我々は初めて、宇宙の最も初期段階の暗黒物質を測定した」とこの論文の共同執筆者である東京大学の播金優一助教はプレスリリースで述べている。
「120億年前、状況は大きく異なっていた。現在よりも多くの形成途中の銀河が見られ、最初の銀河団も形成され始めていた」
暗黒物質は光を発しないために直接検出できない。しかし、暗黒物質が銀河などの目に見える物質に及ぼす重力レンズ効果という現象を観測することはできる。重力がレンズのように作用し、その背後にある物質から発せられる光をゆがめる現象だ。
遠くの銀河からの光が、手前の銀河団によってゆがめられる重力レンズ効果を示した図。この現象を利用することで、暗黒物質の分布図を作成することができる。
NASA & ESA
今回の研究でも重力レンズ効果を利用した手法により、宇宙で最初の光のゆがみを測定した。
宇宙はビッグバン直後の光の名残である宇宙マイクロ波背景放射(CMB)で全体が満たされている。研究者たちは約120億年前の銀河150万個を選び出し、それらをまとめて重力レンズとして用いてこの原始の光の歪みを解析した。その結果、レンズとして利用した銀河における暗黒物質の分布を再構築することができた。
研究者らは、初期宇宙の暗黒物質が、現在の物理学モデルが示すほどには物質的なムラはないということを発見した。
「この発見はまだ確実なものではない」と、この研究の共同執筆者、名古屋大学の宮武広直准教授はプレスリリースで述べている。
「しかし、もしこれが確かであるなら、時間をさかのぼるほどモデル全体に欠陥があることを示唆することになる。不確実性を減らした後でもこの結果が成り立つのであれば、暗黒物質そのものの性質をより深く知ることのできるモデルへの改良につながることを意味するため、大変興味深い」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)
からの記事と詳細 ( 約120億年前の銀河周辺の暗黒物質を検出…標準モデルの予想よりも分布はなめらか - Business Insider Japan )
https://ift.tt/SEnuDAd
科学&テクノロジー
Bagikan Berita Ini
0 Response to "約120億年前の銀河周辺の暗黒物質を検出…標準モデルの予想よりも分布はなめらか - Business Insider Japan"
Post a Comment